輸血・献血・献血ドナー・供血犬について
今日は、犬という家族をもつ私たち飼い主の皆さんに、愛犬のために、まわりの愛犬とご家族の皆さんのためにも知っておいてほしい『犬の献血』についてのお話です。
ときどき駅などで大きな献血車を見かけたりすると思いますが、この車は犬のための献血車で、海外ではこうした献血車が街を走っている地域もあるそうで、少し調べてみると…
こちらのアメリカのペンシルベニア大学獣医学科には犬用の献血車があるそうです。
私たち人間と同様に、犬や猫も怪我をしたり病気なります。時には手術が必要だったり、そのための『輸血』が必要になることがあります。
大きな怪我をしてしまったり、迷子にしてしまった際の交通事故などの緊急時など『献血』で助けられる場合があります。
その一方、現在、日本では輸血、ドナーを待っている犬たちが多いことをご存知ですか?
ペットブームの影響、その背景から引き起こされる問題の1つ“ペットの病気”があります。
これは皆さんもご存知だと思います。数年前からペットの体に『異変』が起きている事をテレビ番組などでも取り上げられていました。
なかでも遺伝性の病が増え、一度の輸血で完治するものではなく、定期的な輸血が必要となる場合もあります。
全身の麻痺や失明、効果的な薬剤や適切な治療法もなく死に至るものも多いとも言われていて、この背景の1つに母体の健康やケアもなく、劣悪な環境下での飼育、無理な繁殖が大きな原因とされています。
こうして昔にはなかった病気、それに伴う輸血の問題が増えてきています。
しかし、私たち人間の医療環境と違って、これだけブームになった動物たちに対しての公的な血液バンクが存在しない現状なのです。
動物医療では院内で飼育している動物や飼主さんのお知り合いの方、ネットなどでの呼びかけに頼ることが多く、先にお話しした海外のような献血車などもなく、こうした緊急時に十分な対応、輸血が行えないことがあるのです。
しかし、これも以前のことを思えば、最近では献血にご協力していただける健康な犬や猫(ドナー)を私たち一般家庭から募集される献血制度に取り組む動物病院が増えてきていますので、献血にご協力いただいた血液を保存・管理するシステムを整え、緊急時などに保存してある血液を使って『輸血』を行うことができるようになってきています。
まずは少しでも多くの方に献血や供血犬や輸血について知る機会と現状を知って欲しいです。
1匹でも多くの血液が
1匹でも多くの命を救うために
『供血』は、たがいの愛犬を思いやり助け合うことが目的です。
一部の動物病院では、輸血の必要性から複数の大型犬が飼われていたりします。彼らは『供血犬』としての役割を持って、いわば病院のチームの一員として病院で暮らしています。
輸血が必要な犬が運び込まれた時には、自らの健康な血を分けて仲間を助けてくれています。
一般的な『献血ドナー』は、あくまでも飼い主さんの善意によるものです。
しかし、ドナーを募集する時間さえもない緊急を要する場合には、この『供血犬』の存在が大きな役割を担っています。
血液は長期保存ができないので、輸血用の血液を一定量安定的に確保するためには『献血ドナー』や『供血犬』の存在が大きな役割として必要になっています。
このドナーにも条件があり、健康な犬のすべてが献血可能であるわけでもなく、供血、献血、輸血のご協力くださる際には、各病院によって多少の条件などの違いがありますので、信頼をおく獣医師の説明の上で判断して行うことが大切です。
家族である愛犬のため、飼い主さんである皆様には、ある程度の基礎知識を持たれたうえで、最適な判断を頂けますよう、心からお願い申し上げます。
献血が可能な犬
- 1〜7歳
- 交配経験のないオス、または妊娠出産経験のない避妊済みのメス
- 体重10kg以上(病院に確認してください。)
- フィラリア予防、ワクチン接種、ノミ・ダニ予防済みであるなど(病院に確認して下さい。)
- 麻酔をかけずに採血のできる温厚な性格
- 大型犬が望ましい(体が大きいぶん、採血できる血液量も多いため)
献血ができない犬
- 秋田犬(赤血球細胞内のカリウム濃度が他の犬種より濃いためだそうです)
- 過去に輸血経験のある犬
- 過去に血液で感染する病気にかかったり、その疑いがある犬
- 全身性の感染性皮膚疾患のある犬
献血ドナー登録の流れ
- ドナー登録に公的機関はありませんので、各病院での登録を行う。
- 献血ドナーを募集している病院へ連絡を入れて、来院予約を行う。
- かかりつけの病院があれば、獣医さんに「ドナー登録」をする旨を伝えておきましょう。
健康診断
- 当日は身体検査と血液検査をして献血が可能かを調べます。
- 問題がなければ献血を実施。
献血
- 採血量は体重によって違います。
- 動物は血液の3分の1を失うと危険です。
- 1回の採血は4分の1程度で200ml~400ml。
- 時間は15分~30分くらいかかります。
献血後のケア
- 皮下点滴を行います。(病院によりますので確認下さい。)
安静
- 献血後2~3時間は病院で様子を見ながら休む。(病院によりますので確認下さい。)
帰宅
- 採血後に異変がないかを獣医さんが確認して、問題がなければ帰宅できます。
- 病院によっては、その後の様子を確認の電話をくれるところもあるようです。
- ドナー登録の御礼(ドッグフードやドッグタグなどをもらえたり、爪切りなどのサービスなどがあるようです。)
以上、ドナー登録は完了です。
緊急時に輸血の協力をお願いされたり、健康状態に安全な期間をあけながら定期的な献血をお願いされたりしますが、これらも病院によって献血方法、ドナー登録の流れに若干異なりますので行う病院で確認して下さい。
皆さんの愛犬や愛猫さんたちが通う病院ではどうでしょうか?
ドナー登録へのご協力していただける方を募集されていないでしょうか?
動物を迎えて共に生活すること
生かしあい思い合い生きること。
我が子、家族であるペット、皆さんにとっても同じだと思っていますので、一頭でも多くの命を救えるチャンスを広げていけるように、私たち飼い主と愛犬たちの愛情で共に協力し助けあっていきたいと考えています。
最近『輸血』を必要とする犬や猫たちの病気、『献血ドナー』を必要とされる皆さんの投稿を目にする機会も増えてきて、動物を家族にもつ身としては痛いほど辛く心配な問題です。
献血、輸血については、ドナーの条件もありますので、供血は出来なくても、皆様ひとりひとりのシェアや声かけなど、出来るかぎりでの協力と思いやりで強く繋がっていければと思っています。
今や犬や猫などの動物もかつての番犬や単なるペットではなく、私たちの家族の一員と認識を得る時代です。
家族である動物の健康問題に対しても、私たち同様に対応できる公的な医療制度、機関の誕生を心から願っています。
皆さまと愛犬が健康に恵まれ、穏やかな時間を幸せに末永く大切に過ごしていけますように。
Lovely days CHIKA'S MIND TRIP
日本動物高度医療センター
農林水産大臣指定小動物臨床研修診療施設
犬の血液型について詳しく解説。
大けが、貧血、ガンなど、輸血治療が求められる際に必要となる知識です。
日本獣医生命科学大学付属動物医療センターでは、血液を提供していただける「ドナーわんちゃん」を募集しています。
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