病気の予防は知識以前に飼い主の意識と愛情


ここのところ静かに見守らせていただいている一頭の犬がいます。
引き出し保護してくださったPeace Love & DBと預かりのお母さんのもとに迎えられた犬です。

ですが私はブログにしませんでした。それは私の心のなかに理由がありました。犬が抱えてる問題です。

そして、新しい飼い主さんや支援や寄付などを募っているわけではないのでブログにするという理由もなく、ただただ見守りたい応援したいということが一番にあったからです。

ここからは『Peace Love & DB』の投稿情報をお伝えしながら現在の様子を投稿させでいただきますが、見る人によっては悲しくて苦しくなる様子にも思いますので、ご自身で判断しながら無理せずにご覧になってください。

ここにきてブログにするに至ったのには当初と違う『理由』が見つかったからで、出来るだけ多くの方に知ってほしい、感じて考えていただきたいという強い思いなのです。それは後ほどにお話をするとして、先ずはご紹介させていただきます。



ジャスミンちゃん…

愛護センターに迷子犬として収容されていた頭を怪我しているイングリッシュ・セッターを『Peace Love & DB』さんが10月24日に保護してくれました。

ペルシャ語『ヤースミーン(神からの贈り物)』に由来するといわれる、愛らしく朗らかで優美な気品があるという花言葉通りの『ジャスミン』という香り高いステキな姫の名をつけてもらえた犬。


首輪が示す飼い主の存在…

元の飼い主がジャスミンちゃんにしていた首輪には残念ながら身元を示す鑑札やマイクロチップなどはありませんでした。

彼女を不幸から逃げられないように繋ぎ止めていた首輪とは決別。姫君に見合った名前とともに新しい首輪をもらえました。

実質的に治療などが必要な状態のジャスミンちゃんは、優しい預かりママと家族に迎えいれてもらえて心身ともに元気になるために愛情いっぱいのお世話をして頂いています。


蝕む肥満細胞腫…

しかし、当初は怪我だと思われていたものは病理検査の結果『肥満細胞腫』でした。自壊した腫瘍は左目までに及び腫れ上がった腫瘍に潰されていたようです。

写真の様子からしか分からなかったけれど、乳腺腫瘍の犬やメラノーマに侵された犬たちを見てきた経験から、個人的には腫瘍に見えたのですが、腫瘍にも種類、良性、悪性、悪性にいたってはグレードといろいろあり、確かな事が分からないこともあり、直ぐに新しい飼い主さんを募集される状況でもないので、ほかの理由もあり記事にするのは控えようと考えてブログにはしてきませんでした。

セカンドオピニオンで、腫瘍専門医の診察を受け、直ぐに分子敵薬という抗がん剤を使った治療を開始してくださり、投薬1日目で少し腫瘍が小さくなり、隠れていた左目が見えるようになったり、しばらく点滴に通って分子敵薬が効いて腫瘍が小さくなれば外科手術も可能となる… 


何より保護主のPeace Love & DBさん、預かりお母さんの諦めないという強い意思と治療法があることに大きな希望を感じ、ジャスミンちゃん、預かりお母さん、Peace Love & DBさんの応援をしながら見守らせていただいています。

預かりママさんは毎日ジャスミンちゃんに話しかけてくださっているそうです。

あなたはもうどこにも行かない。
うちの子だから安心して。
ずっと一緒。
だから頑張ろうね。
私は諦めない。
捨てたりしない。
だから頑張ろうね。



肥満細胞と肥満細胞腫

知らない人からすれば肥満の文字のイメージをしがちですが、いわゆる体が太っている肥満との関係はありません。

体の中の肥満細胞が腫瘍になってしまったものが肥満細胞腫です。肥満細胞自体はアレルギーや炎症などに関与している細胞で、体の中のいろいろなところにあります。ヒスタミンやへパリンなど、様々な物質を含んでいます。

肥満細胞腫は犬の皮膚や皮下に多くみられる悪性の腫瘍で、その他、皮膚の下の方、粘膜、筋肉、内臓などにできることもあります。その悪性度が大きく3段階(グレード分類)に分けられます。悪性度により必要な治療が変わってきますが、それ以外に転移を起こしていないかどうかも重要です。

この悪性度は手術で摘出したものを検査に出すことで判明します。手術前には悪性度はわかりませんが、皮膚以外にできるものは悪性度の分類は行わず、通常は悪性度の高いものとして治療します。

手術で治ってしまう悪性度の低いものから、急激に進行する悪性度の高いものまで、かなりのバリエーションがあり、腫瘍の悪性度により治療法もさまざま。

原因は不明ですが、c-kitという遺伝子の変異が肥満細胞腫の発生に関わっていると報告がされているそうで、なりやすい犬種もあるそう。

目にみえている(触って分かる)肥満細胞腫が小さくても、実はそこから目に見えない腫瘍の根っこが伸びています。この根っこまで手術で全部とらないと再発を起こしてしまします。そのため目にみえている腫瘍とそのまわりを含めて大きく手術で切除する必要があります。



早期発見と診断、治療が大切

  1. 肥満細胞腫は見た目では判断が難しいため、早期発見と診断、治療が非常に大切です。
  2. 日頃のスキンシップ、グルーミングの大切さ、頭の先から尻尾の先まで、体に触れる習慣をつけましょう。
  3. どんなに小さなものでもシコリ、デキモノを見つけたら、自己判断や経過観察はしないで一刻も早く掛かりつけの獣医さんに相談して受診してください。


普段から私たち飼い主が彼らの体のことを知ることが大切です。撫でたりスキンシップを兼ねてブラッシングをしたり、月に一度のシャンプーの際にも念入りに皮膚の状態を確認していれば僅かなシコリなどの異常に気付けたり発見することができます。

初めて犬を飼う人たちには経験がなかったりするかもしれませんが、犬たちの終生を共にした経験のある皆さんなら歳を重ねてシニア期にはいった犬のカラダの変化に気づいたことがあると思います。

徐々に皮膚トラブルが起きたり、体のあちこちにイボのような塊をみつけるようになったりします。ペットの年齢に関係なく病気にかかるものですから、経験の有無に関わらず注意が必要です。小さくてもデキモノが見つかった場合は、自己判断で様子を見るのではなく早めに動物病院で受診して下さい。

  • 脂肪のかたまり?
  • まだ小さいからいいかな?
  • 痒がらないから大丈夫かな?
  • 痛がらないから大丈夫かな?
  • しばらく様子をみようかな?

と、デキモノを軽視しがちのような気がします。他にもネットで見かけるのは、経験者などからの意見を鵜呑みにしてしまう傾向もあり危険だと感じる投稿も見かけたりもします。

私たちの顔にポツンとデキモノが出来たとしても理由があるように、なかったものが出来ることには何かしらの原因や理由があるものですので、もしかしたら悪性の肥満細胞腫かもしれません。


病気の予防は、飼い主が病気について正しい知識を持つことより『意識』が大切だと思っています。

私たちのように声に言葉に出して示すことができない犬たちです。僅かな変調や異変を見逃すことなく診察を受けるようにして防ぎ、獣医師による診断から早期治療が受けられるようにして進行を抑え悪化を防ぎましょう。

たとえ良性の腫瘍と言えども出来物が2度とできない健康な身体をつくるようにトラブルの原因を知り、食事や外的ケアなどをしなければなりません。



ジャスミンちゃんのように病気を抱えて迷子となった飼い主不明犬。
病気になって医療措置も受けられず遺棄された犬たち。

そして今回いろいろと事例などを調べていると思ったことがあります。『ここまでになるまで診察うけずに放っておいたの?』と思う飼い主さんが意外にも少なくないことの事実でした。

これが今回ブログに書こうという『理由』になりました。

小さいシコリのうちは完全に摘出が可能でも、大きくなってしまうと周囲に浸潤するため完全には摘出が難しくなります。また再発や転移のリスクが増加しますので悪性腫瘍の場合は早めの対処が重要となり、それは飼い主の判断と行動次第なのです。

ジャスミンちゃんを出来るだけ多くの方に知ってもらえたら、ジャスミンちゃんを通して愛犬を思い、愛犬のことを考えてもらえたら、そんなつもりはなくても、ちょっと様子見のつもりだったことでも、結果的に愛犬を苦しめてしまう人たちが減り、不快や苦痛に耐え苦しむ犬たちが減るかもしれない…

私たちが必要としたペット、大切な家族として迎えた愛犬のことを考えるキッカケになれば、ジャスミンちゃんの存在は沢山の人とペットの幸せのためにもなる。と思ったからです。

実際に自己判断のなか腫瘍の経過様子を見てしまってる飼い主さんがいるなら、一刻も早く動物病院で受診をして多くの治療の可能性を受けられるようにしてあげてほしいからなんです。

上にも書いたように早期発見と診断、治療が非常に大切なんです。



これは静岡県の『あいの動物病院』のウェブサイトからです。こちらには患者となる犬たちの治療や手術などの症例が掲載されていて読ませていただきました。

ガンという病気を抱え苦しんでるいる動物たちのですので、その画像の閲覧にはショックを受けられる方もおられると思いますので気をつけてご覧になってください。(このような病気でお困りの方がおられるのなら一度ご相談してみてはいかがかなと思いました。)

我が家のヌーヴォーくんは、あるとき耳の内側の皮膚に僅かに小さな膨らみを感じる部分があり病院へ行くと、良性か悪性かすぐに検査のため切除手術することになりましたが、その後も何もなく、ありがたいことに彼とともに生きる喜びを感じる楽しみを多く経験させていただき、大きな病気もなく健康的に長く生かさせていただけました。



最後に…

もうひとつ。今回ブログにしようという思いに至ったことは書かせていただきましたが、書かなかった理由のひとつを最後に追記させてください。(いつもブログを読んでくださる皆様において、そのような懸念を抱いているわけではありません。)

皆様も目にした事があるかもしれませんが、時々 殺処分反対の投稿に可哀想な犬としての内容に直接関係ない犬たちの写真を掲載したりされてる投稿をSNSなどでも見かけます。処分という残酷な行為を廃止したい思いを訴えたいのだと思います。

それであるなら運良く収容保護された動物たちが飼い主のもとへ帰ることができるよう、ペットを飼う飼育者に向けて所有者明示の必要性を呼びかけたり、義務である以前に身元明示の措置は飼い主の愛情であることを訴えたり、身元不明という不幸にしないための啓発を促したりするほうが良いと思っています。


さらに動物愛護や保護を名乗るグループが他団体の動物の写真やユーチューブからのスクショ、他国の犬たちの記事写真などを内容と関係ない自分の記事に利用したりされてることがあります。それらを指摘されても繰り返す行為は問題視されています。

それは著作権問題に発展する恐れ、知らない人たちが閲覧することで誤解を招きかねない行為や自身の活動の支援者に支援金を受けていれば詐欺行為と捉えられ繋がる恐れさえあるものだと個人的にも懸念し思うものではあるのです。

広く知ってほしい内容として掲載されるなら画像のみの利用ではなく、他者の活動そのものの記事をリンク掲載すれば良いでしょうから…。意図的な行為が不信な印象を受けてしまいます。

身勝手な飼い主の飼育により不幸を強いられているペットの現状を知り、動物を不幸にしない飼い主になるべき啓発に繋げようと思う皆様たちに誤解を与えてまで何がしたいのだろうかと怒りさえ感じることもあるのです。支援者や支援金集め?が目的なのでしょうか。

見る人たちに他人の行いから自分自身を見直し、より良い飼い主になるために改める考えを生むキッカケになっても、酷い!最低だ!という他人に向ける怒りや憎しみを助長されるようなこと、殺処分や行政への闇雲な批判につながるようなことを動物愛護の名乗る人達の活動の真意がわからないのです。

保護活動されてる皆様は犬たちの姿に顔の見えない飼い主の存在に怒りや悲しみを堪えても、この子達の幸せしか思わない。幸せではなかった過去を断ち、楽しみや喜びに満ちた未来の幸せを願って、保護した犬や猫が新しい家族に出会うまでの間、 愛情を注ぎ心身のケアを行いながら一緒に過ごす大切な時間を活動とされています。

こうした活動をされてる皆様に学ぶことを支援応援したいと思いますし、なにより自身と愛犬や愛猫の暮らしを見直すきっかけ、適正飼育や終生飼育の大切さを何度と肝に銘じ感じることが大切なんじゃないかという思いです。

『動物愛護』人と幸せに暮らす犬たちの写真をあげるほうが、不幸を避け幸せにすることの啓発に繋がるでしょう。幸せな犬たちの様子や適正飼育されてる様子のほうが、現状の問題とされている飼い主教育の手本にもなると思っています。

いろいろと思うところを書かせていただきましたが、このような人たちに利用されたくない思い、適当な言葉が見当たらないのですが見世物にしたいわけではないので、その辺りも懸念してブログ掲載を躊躇した理由にあったことを皆様には正しく理解を寄せていただけますよう心からお願いしたくて追記をさせていただきました。




家族とともに生きる「病気と向き合う日々」

下の投稿お気に入りの動画です。
ジャスミンちゃんが犬らしく嬉しそうに楽しそうにハシャイでクンクンクンクンしてるんです。


お外用のエリザベスカラー、少し短めにして思い切り好きなクンクンをさせてあげたいと思ったけれど、傷に触れるとバイ菌が入ってもいけないし出血してもいけないということで、今はこれが限界だそうです。

不快で心も滅入ってしまうことが多いと思うけど、こうして楽しい気持ちが芽生えるだけでもジャスミンちゃんの心身にとって幸せなことでしょうね。

こんなに無邪気に嬉しそうにしてる姿が見れたとき、元気から腫瘍が小さくなると思えたほどでした。しかし、その後すぐ頭の腫瘍からの出血、今度は目から血が吹き出てきました。

そして昨夜は鼻からも出血してしまい、このままでは出血死してしまう恐れから今朝から入院となったそうです。


ジャスミンちゃんに何かあれば、朝も昼も夜もなく病院へと連れて行ってくれるご家族、これほどの強く優しい愛に恵まれて本当に幸せなことです。

元飼い主にはこれが出来なかった。
それが答え、愛犬でもなく家族でもなく、責任も覚悟もない、自分勝手で身勝手に見捨てた、やはり愛がなかったんだと思えてなりません…。


目から血が吹き出して病院で処置を受けてもらえたジャスミンちゃんですが、理由は目の奥にも腫瘍があり出血したそうなのです。動くことで出血してしまうため、鎮静をかけてもらい眠くなる座薬でしのいでいる状態。

今も血が止まらない状態となってしまっている様子に辛く苦しいジャスミンちゃん。

腫瘍を取り除いてあげたい、助けてあげたい、癒し安らぎをあげたい、遊んで元気をあげたい、あげたいものが沢山ありすぎるだろうに、あげられないなんて、悲しくて心苦しいだろうお母さんとご家族の気持ち…

尊く強い生命力
彼女は彼女の一生を頑張っている。
もはやかける言葉などもありません。

ともに病気に向き合い、少しでも楽になるように、少しでも休めるように、少しでも頑張れるように、優しく撫でて寄り添って、見えなくても近くにいて声をかけて頑張ってくれる家族とともに生きているから。幸せだと嬉しいと、それで十分だと思ってるんじゃないかと思います。

どのくらいの回復が見込めるか分かりません。

元飼い主の元では気にもかけてもらえず心配もされず、大きくなる腫瘍を見ないように避けられ続けたあげく放置されて、不快から次第に自由が利かず具合の悪くなるのも我慢しながらただ生きていた時間よりも、例え短くても苦しくても頑張ってでも生きたくて生きるために目の前の生に立ち向かう時間は生きる価値がある清く美しい時間だと思います。

病院の帰り道、預かりママの息子さんが、ジャスミンちゃんを抱っこしていてくれていたと投稿がありました。
一度もシャンプーも出来ず、腫瘍から体液も出て、匂いも強い状況であっても、ジャスミンちゃんを抱いてくれる大切にしてくれる愛情。大きな体でも心は無邪気な甘えん坊な犬たち、ジャスミンちゃん安心できて、とても嬉しいよね!

インスタグラムからジャスミンちゃんの様子が見られます。皆様どうかご家族とジャスミンちゃんを見守ってあげてください。



Peace Love & DB

ダックス、ポインター、薩摩ビーグルを中心に保護している愛護団体。
大切に育てられながら、新たな飼い主さんを募集している犬たちの投稿も、それぞれの個性や性格と抱える問題、犬たちの魅力に溢れていますので閲覧ください。

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